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2016年8月、58歳2か月の時に、急性骨髄性白血病(遺伝子変異の有無については、入院後かなりたってからFLT3、Internal Tandem Duplicationという「手強い」遺伝子変異があることを教えて頂きました。)を発症したとの診断を受けました。実は、その4か月ほど前から白血球が相当に減少し、6月には微量ですが末梢血中の芽球が出ていた時もあったのですが、ベテランの秋山秀樹先生や小林武先生のマルクでも、骨髄繊維化のために骨髄液が採取できなかったことから、当初は骨髄異形成症候群か急性骨髄性白血病のどちらかであるという診断を受け、芽球の量が微量のため骨髄異形成症候群ではないかということで通院していました。しかし、8月中旬のある診察日に、末梢血中に多くの骨髄芽球が確認されたことを示す検査結果を見た小林先生の顔が急に曇り出し、「○○さん、急性骨髄性白血病です! 大丈夫ですか?」といわれました(その後、入院した後で、最初の担当医となった原田介斗先生が3回針を入れ直してようやく骨髄液が採取でき、ほとんどが骨髄芽球で占められていたと言われました。)。すぐに入院し、当初はあまりよく事情を理解できないまま、多くの同意書にサインしました。そして、骨髄異形成症候群であったとすると、骨髄異形成症候群の専門家である緒方先生が開いているサイトで、成功するかどうかが不確実な移植を受けなくてもアザシチジン(ビダーザ)で治療できる場合があるという情報を見ていたので、入院をして数日たった8月下旬のある日に、担当医の原田先生に、元が骨髄異形成症候群であったとすると移植を受けなくても大丈夫ですかと聞いてみました。しかし、原田先生からは、「○○さんの場合、元が骨髄異形成症候群であり、それが悪化して急性骨髄性白血病に転化しているので、移植をしなければ100人中100人とも2年以内に亡くなります。」と、はっきりと言われました。そこで、当初はものすごくショックを受け、半分うつ状態のようになったのですが、死にたくないので、ハイリスク・ハイリターンとされる造血幹細胞移植を受けることにしました(なお、後で調べてわかったことですが、骨髄異形成症候群が急性転化して急性骨髄性白血病になったことに加えて、骨髄繊維化が相当に進んでいたこと、FLT-3 ITDの遺伝子変異があったこと、発症時高齢であったことなど、私の急性骨髄性白血病は予後不良といえるものでした。なので、そのことを教えてくれた原田先生には、本当に感謝しています。)。 自分が気持ちを切り替えて、最後の望みを託して造血幹細胞移植を受ける気持ちになったのには、都立駒込病院の血液内科病棟の多くの優しい看護師さんの方が一生懸命に採血や輸血や介助などをしてくれたことや色々な相談に乗ってくれたことがあり、多くの看護師さんの方がこれだけ手厚い看護を毎日してくれているのだから、自分も「頑張らなくっちゃ」と強く思ったということがあります。 実際の治療としては、まず、"3+7"(最初3日間のイダルビシン(イダマイシン)+7日間連続のシタラビン(キロサイド))の寛解導入療法、"3+7”の3回の地固め療法(第1回目は最初の3日間のミトキサントロン(ノバントロン、俗名-ブルーハワイ)+7日間連続のシタラビン、第2回目は最初の3日間のイダルビシン(イダマイシン)+7日間連続のシタラビン、第3回目は最初の3日間のアクラルビシン(アクラシノン)+7日間連続のシタラビン)を行いました。そして、第一寛解期にあった2017年某月、患者登録から197日目に、幸運にも、白血球のHLA型が一致し、ABO血液型も同じB型の、骨髄バンク登録ドナーの方の善意により、その方の骨髄の移植(フルダラビン(フルダラ)+ブズルファン(ブズルフェクス)+ごく少量の全身放射線照射による強度減弱前処置(Reduced Intensity Conditioning)によるミニ移植)を受けることができました。入院して全身麻酔までして骨髄液を提供して頂いた命の恩人のドナーさんと、白血病の診断の時から一貫して的確な判断の下に最適な治療を施し、ここまで元気にして下さった主治医の小林武先生には心から感謝しております。 死ぬほどの苦痛があると思っていた移植時の症状は想像していたよりはるかに軽く、移植後、治療を要するほどのGVHDは現れず、免疫抑制剤タクロリムス(プログラフ)も移植後少しずつ漸減して11か月後に終了したので、職場の有難いご厚意によって、2018年4月から最初は勤務時間を制限し、徐々にならして行くという形で復職することが認められました(現在もなお仕事を続けており、解雇されるまで働こうと思っています。)。 移植の時に、当時の看護師長さんの提案を受けて簡単な運動を行う治験に参加し、長期のリハビリのための運動プログラム(立った状態でのかがと上げ30回、座った状態でのかがとの屈伸20回、左右交互のもも上げ1分、1日6時間は座るか立っていること)を組んでくれて、頑張ってやっていると幼稚園の先生のように◎をつけてモティベーションを上げてくれた、LTFU担当の稲本恭子先生からお酒を飲むのは「だめ!」と強く言われたため、もう金輪際お酒は絶対に飲まないことにし、以後は全く飲んでいません。それゆえ、移植を受けた方は、禁酒をするのが望ましいと個人的には思っています。なお、恥ずかしながら、25歳までたばこをやめられませんでしたが(ブリンクマン指数は200)、今年40歳になった上の娘が生まれる1年前の1983年に妻から「たばこはやめて」と厳しく言われて禁煙し、平均より劣るものの、肺の機能はそれほど悪くはなく、そのことが移植が成功した一つの要因だと考えています。 移植後、うなぎを食べると吐くこと、帯状疱疹にかかり、そのために左下の歯根の部分に軽い神経痛があること、肺炎球菌、次に、RSウィルスに罹患して高熱が出たこと、総コレステロール値が2年以上も非常に高かったこと(今は少し低くなりました)、長い間肝機能が悪い状態が継続したことが原因で食道静脈瘤ができてしまい、2024年9月にはその静脈瘤が破裂したため、救急車で緊急入院し、当時肝臓内科におられた音山裕美先生の「神の手」による内視鏡的静脈瘤硬化術によって事なきを得たこと(しかし、肝硬変自体はあり、経過観察中となっています。)、かびの多い実家の片づけをしていた時に罹患したと思われる肺真菌症で高熱と一カ月近いぜんそくに悩まされたこと(しかし、新薬クレセンバが非常によく効いて、2週間で完全に治癒しました。)など、次から次へと色々な合併症に悩まされてきました。それでも、移植を受けて9年以上たった今でも元気に生きているというだけで本当にありがたく、生きている限り、感謝したいと思っています。そして、1日1杯のコーヒーを飲むこと、ミスチルやいきものがかりの音楽を聴くことが楽しみです。なお、薬は白血病の移植後の薬はドライアイ用の目薬を除いてすべてなくなりました。また、現在もなお続いているドライアイの症状も数年前と比べてよくなり、先生からはGVHDの所見はないといわれ、安心しています。 ただ、造血幹細胞移植や原病である骨髄異形成症候群との関係は必ずしも明らかではないのですが(この点に関し、オランダの学者らの研究によれば、骨髄異形成症候群の患者が造血幹細胞移植を受け、発症時高齢の場合には、相当な確率で認知機能・実行機能を低下を含む全般的な老化現象が生ずるとするマーストリヒト報告が2021年に公表されています。)、2020年6月にてんかんの欠神発作が数回起こり、勤務先への通勤経路を忘れるなどの症状が出たので、2021年春に脳血流のSPECT検査によりアルツハイマー型認知症と診断され、同時に、血液中のビタミンB1の濃度が正常値の4分の1程度に極度に不足していたことを指摘されました(脳神経内科の能勢裕里江先生からは、これほどひどくビタミンB1が不足していると、認知症になる可能性が高く、ビタミンB1の量が回復すればある程度はよくなるかもしれませんと言われました。また、長く造血幹細胞移植に携わってきた小林武先生も、経験上、脳神経の症状は原病等との関係が全くないとは言い切れないと言っておられました。)。そのため、フルスルチアミンを3錠、てんかんの発作を止めるためのレベチラセタムを朝晩1錠ずつ、アルツハイマー病の症状の進行を遅らせるドネペジルを朝1錠服用することになりました(その後、てんかんの欠伸発作は一度もなく、失見当識もなくなりました。)。アルツハイマー型認知症であるという診断を受けた時にはショックを受けたのですが、今は立ち直りました。そして、脳神経内科の医師として超優秀であり、診断も的確な能勢裕里江先生の定期的な診察を受けつつ、明確な病識を持って、脳の残存機能を引き出すとともに、症状の改善に主体的に取組み、脳の障害とともに生きていけるように、毎日読書と勉強を行うなどの努力を続けようと思っています。また、世間一般に広く存在する認知症の患者に対する不当な差別をなくしたいと考えています。 それでも、骨髄バンクを通じての骨髄移植を受けることにより、発病から10年を過ぎても元気に生きててよかったとつくづく思います。ここまで元気にしてくれることを可能にしてくれた骨髄バンクのドナーさん、主治医であった小林武先生、その時のLTFU担当であった稲本恭子先生、献身的に看護してくれた駒込病院の多くの優しい看護師さんにはどれだけ感謝してもし切れません。 専門家の先生には噴飯もののひどい記事なども多いのですが、骨髄バンク制度による非血縁者間の骨髄移植、がん治療の進歩及び大きな総合病院の中の診療科の連携と優秀な血液内科内の医師・薬剤師・看護師によるチーム医療によって命が助かったことから、8年以上にわたってブログを続けています。現在は、自治体による助成制度の記事に関する追加などを続けていますが、時には医学関係のリンク等を中心とする記事を書きます。
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